井上逸兵のひとりごと
 
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2007年11月1+1日号
 
わが兵を逸する
 
© Ippei INOUE
 
我が機動部隊のケータイが墜落事故により戦列復帰不可能のもよう。
 
いまケータイない。駐車場の地下層で瀕死の状態と思われる。別機で連絡をとるも、応答がない。勇壮な呼び出し音のなることもなく、ただ、留守電姫の声が弱々しく窮状を代弁するのみである。自分のケータイに電話などしたことがないので、こんな姫に世話になっていたとは知らなかった。むろん、姫にねぎらいの言葉を忘れるような不義理はしない。しかし、それに対する返答はなかった。まさかエリカ様みたいなつもりじゃああるまいな。
 
まあそれは寛大に許すとして、ひょっとして、ここ数日の間に小生のケータイに電話やメールをくださった方にはご不快な思いをさせているかもしれない。こちらについては、お許しを請わねばならない。
 
アドレスやら電話番号のみならず、さまざまな情報のメモとしてケータイ兵を用いていたので、途方にくれている。実のところ、親や兄弟の住所も電話番号もわからない。授業の教室番号がわからない。シャツのサイズもわからない。名古屋で泊まるホテルもわからない。ドッグフードのローテーションもわからない。ショックと被害はあまりに甚大である。
 
ケータイはあっという間に我々の生活の一部となった。しかし、なくなるとあらためて気づかされるが、ケータイが我々の生活に組み込まれているのではなく、我々の生活こそがケータイの中に埋め込まれている。ケータイは欠かせないどころか、生きる射程そのものなのだ。
 
もちろんこれは悲劇であり、喜劇である。
 
難しいことを書きすぎて、頭痛がしてきた。そんなことはともかく、これまで、小生とケータイで通信をしたことのある方、なおかつ今後も何らかのお付き合いをいただけるという方、たいへんお手数ではありますが、こちらまで、メールをいただけないでしょうか。
 
もう小生とは縁を切りたいという方におかれましては、やむを得ずあきらめます。ただし、奇襲攻撃にご注意ください。
 
とりいそぎ。
 
(11月吉日、ケータイ兵の救出に成功しました。奇跡的に無事でした。地下に潜っていた故の音信不通だったようで。お騒がせしました。)
 
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