井上逸兵のひとりごと:終わらない夏

ひとりごと

2007 年 9 月 15+3 日号

© Ippei INOUE

こう毎回、やれ忙しい、それ大変だ、たれぱんだ、などと言っているとだんだん自分でもウソ っぽく感じられてくる。

しかしながら、本当にこの夏は悲惨だった。ていうか、この文を現在完了進行形もしくは継続 用法の現在完了で表現できない日本語を呪いたい気分である。

気がついたら「+3日」になっていた。自分の意識では「+1日」だったが、どういうことだ ろう。そうか15日は土曜日で昨日まで連休だったんだ、などと誰に対して言っているかわか らない、しかも何を言っているのかもわからない弁明に、もっと自分を好きになれるかもしれ ないとわずかな希望を胸懐に覚えた。

今、とあるチャンネルの夕方のニュース。トップは長嶋夫人死去。2番目、母子殺人公判。3 番目、自民党総裁選。4番目、殺人。その他、告別式、殺人、遺体発見、殺人だったと思う。 相変わらず死ぬニュース大好き。なるほど命は大事だ。

長嶋夫妻新婚(婚約?)時代、亜希子夫人がキャンプ地訪問。殺到した記者に、長嶋が「プラ イベートのことなので」と取材を断ろうとして、誤って「デモクラシーのことなので」とのた まったことは、日本の英語受容史上さん然と輝く史実である。「プライバシー」などという洋 物の概念はまだ根付いていなかったのである。それでも果敢に横文字を振りかざそうとした長 嶋に敬意を表そう。なるほど民主主義も大事だ。

その後も「プライバシー」に相当する大和言葉も漢語も生み出されなかった。長嶋の言動はそ の予兆だったのである。

さすが、戦後ニッポンのヒーロー長嶋茂雄。学校で英語の先生に「”I live in Tokyo.”を過去形 にしなさい」と言われて、「”I live in Edo(江戸)”」と答えただけのことはある(実話らしい)。 なるほど Tokyo の過去形は Edo と考える歴史認識も大事だ。

余裕がなくて虎ならぬ巨人の威を借りたネタで書いてしまった。ご寛恕のほどを。

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