(C)Ippei INOUE
ひとりごと毎月 1 日更新を宣言したので、月末が近づくと、さてまたどんな壮大な物語を書 いて世に感動の嵐を巻き起こそうかなと、うつらうつら考える。
11 月も 30 日になり、さてそろそろ本腰を入れて考えるかと思っていたところ、明けたらも う 12 月 1 日ではないか! 31 日まであると期待していたのに、11 月には裏切られた思いだ。 たぶんもう 28 年くらいは(最低でも)生きてきたが、そういえば 11 月には毎年裏切られて きた気もする。1 年経つとつい忘れてしまう。
ということで 12 月になった。12 月と言えば、言わなくても師走であり、センセイは走るほ ど忙しい。実際のところ走るヒマもないほど忙しいのである。
12 月はなぜこんなにセンセイたちが忙しいのか。
小生は、大学教員になって二十数年来のこの謎を解明するために、50 年くらい深く思索し、 哲学的な論考を重ね、ついにその原因を突き止めた。突き止めた夜はあまりに興奮してすぐ寝 てしまったほどだった。
その原因とは—-
12 月は、1 ヶ月、つまり 31 日でなすべきことを、20 日くらいまでに終えようとするからで ある。
え?わりとふつう?しかしながら、多くのセンセイたちは、このことに気づいていない。いわ ば、東大もと暗し、東大以外もっと暗し、なのである。
大学はだいたい 20 日くらいで授業が終わるので(この際、12 月 27 日まで授業をやる大学 のことはおいておこう(註 1)、それ以降は大学に来たくないので、あらゆることをそれまで に終えようとするからセンセイたちは忙しくなってしまうのだ。
思い起こせば、そんな忙しさのために引き起こされた失敗も数多くある。12 月は宴席が多く、 酔って郵便ポストに説教しているところを学生に「もう勘弁してやってください」とたしなめ られたのも、駅の階段でころんで口を切ってそのまま寝たら翌朝顔が血だらけでドラえもんの ヒゲのようになっていたのも、酔った帰り道、なぜか道端の草をぬき続けてお巡りさんに職務 質問されたのも、みな 12 月のことだった。忙しさゆえの大失敗である。いや、ただの酒の失 敗では断じてなーい。12 月だからなのである!
大失敗すると、英語圏の若者はよく Epic!とか Epic fail!とか言ったりする。失敗の物語は壮 大な叙事詩なのである(註 2)。
註 1:例えば、そんな大学は東京都港区三田にあったりする。 註 2:epic とはもとは「叙事詩」のこと。
2013 年 12 月 1 日号
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